Malcolm Gladwell『Revenge of the Tipping Point』
カナダ大型チェーン書店Chapters。2023年から2024年にかけて、バンクーバーワーキングホリデーへ行っていたとき、グラッドウェル氏の当時新しく出版された著書『Devid and Goliath』が店頭でプロモーションされていた。グラッドウェル氏はカナダ人だ。バンクーバー滞在中、毎週末、教会のサンデーサービスに足を運んでいた自分に、聖書の登場人物を起用したタイトルはやたらと目を惹いた。だけど、本を購入することはなかった。
日本に帰ってきてからしばらくして、著者のTEDトークを拝見する。「TEDトークのスピーカーに選ばれるぐらいだから、日本では全く無名だが、きっとスゴい人に違いない。」そう思い、普通なら『Devid and Goliath』を買うところだが、著書を調べ、出版日が古い順に買っていくことにした。そうして最初に買ったのが『The Tipping Point』だった。
『The Tipping Point』が発売されて四半世紀。題材を見直す良い機会を得たグラッドウェル氏は、リメイクへ至る。(さながら昨今の映画業界と同じ動向だ。)
Tipping Pointは、簡単にまとめると、物事は直線的な成長曲線を辿るのではなく、指数関数的な成長を辿り、急激な成長を見せ始めるY値のことだ。たしか前作では、ハッシュパピーの流行が例として取り上げられていた。
Tipping Pointは、人為的にも、偶発的にも達成しうる。しかし、大抵のTipping Pointは偶発的産物である、というのが自分の見解だ。
偶然、想像した以上の結果が得られた時、当人はそれを「成功」と呼び、「成功方法」を布教する。でも、その成功者がTipping Pointを語ることはない。では、彼らは何を語っているのか。多少の違いはあれだ、概ね、成功の秘訣は時代の流行を感じ取る嗅覚と先見の目、がメインストリームだろう。
Tipping Pointが関係するにしろしないにしろ、良いことも悪いことも偶然起こる。悪いことが起きた時に過剰に原因を追求する必要はないし、良いことが起きた時に大袈裟に自分の努力や才能を評価する必要もない。
世の中の99.9%は自分の影響の範囲外だ。つまりそれは偶然である。自分が影響を及ぼせる0.1%。今日もそのごく僅かな世界の1部分を大切に生きよう。